代表理事 田中健太の急逝について

平素より、NPO法人信州草原再生の活動に多大なるご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

当法人の代表理事である田中健太が旅行中の事故で急逝致しました。突然の訃報に接し、役員一同、深い悲しみに包まれております。

次の代表理事が決まるまで、代行として事務局の田島忍がその任を務め、組織運営およびプロジェクトの推進を引き継いでまいります。

引き続き、皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


田中健太の遺志を継ぐために~事務局 田島忍

田中健太は優秀な研究者であり、保全活動家でした。研究者としてスーツ姿で講演したり、学生に指導もすれば、作業着でシャベルを持って保全活動に真っ先に駆け付ける、そんな人でした。

2023年1月21日、私は田中から上田市の飲食店に呼ばれました。それまで草原についてほとんど知識のなかった私に、田中は草原保全の重要性、必要性を教えてくれました。いつしか二人でどうすれば草原の保全ができるか議論し、気が付けば4時間が経っていました。

今思えば、その時から私は田中健太のファンであり、尊敬する親友でありました。

その後、私自身も田中研究室の学生さん達と共に草原再生の活動に加わり、学び、汗を流してきました。

田中健太の私心のない、草原を守りたいという純粋で真っすぐな姿に後押しされ、楽しく活動を続けてきました。一方で、毎週のように続くボランティアの保全活動に限界を感じ、組織的に保全活動をする道を模索し始めました。

彼の研究者としての生きた証は論文等で後世に残っていくものと思います。NPO法人信州草原再生は彼の保全活動家としての生きた証だと私は考えています。

この2年間、NPO法人設立までに田中と多くの時間を共有してきました。たった2年しか経っていないことに驚く程濃い時間でした。NPO法人設立後の2年間は無理をせず、やることが決まっていることに以外は、既存の活動を組織として着実に実施し、足場を固めようという方針を決め、それ以降は時期を見て決めようと話をしていました。

田中健太の代わりが出来る人は恐らくいないと思います。それほど、彼は唯一無二であり、知略と武勇に秀でたスーパースターでした。

彼と全く同じようにはできなくとも、彼が残したNPO法人の目的を道しるべに、100点を狙わず、0点にはしないようにまずは遺志を継いで活動を継続して参ります。

「急速に失われている草原を保全・再生するための草刈り作業・樹木の伐採・希少種保護・外来種防除・普及啓発・調査研究等の各種事業を行ない、草原、中でも古来から続く歴史の古い草原が持つ自然の豊かさとその恵みを後生に受け継いでいくことを目的とする」

故人の生前の活動と貢献に心からの感謝と敬意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。

田島忍